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「住んでいる家と土地、また、住宅ローンの残金は離婚のとき
財産分与の対象になりますか?」
家は、名義が夫、妻のどちらにあったとしても、財産分与の対象になります。
ですから、離婚時、売却して清算するのであれば、
売却益を折半するのが一般的です。
もし、売却しないのであれば、どちらかが名義人として住み続け、
売却した場合の金額の半分を相手に支払うことになります。
ただし、どちらかがかなり多くの頭金を出しているのであれば、
分けるときに考慮されることもあります。
また、離婚時に住宅ローンが残っていることはよくあることです。
住宅を売却してもまだ残金が残っているときは、
残ローンを折半してお互いが負担するのが一般的です。
夫婦が共同で作ったものが財産分与の対象となるので、
それがプラスでもマイナスでも同じです。
もちろん、どちらかが作った借金も同様です。
ですから、もし夫名義の預金が1,000万円あり、住宅ローンが住宅売却後も
500万円残っているとしたら、妻は預金の半額500万円をもらえますが、
残ローンの半額250万円も負担することになるのです。
「いわゆる内縁の妻ですが、関係を解消しようと思っています。
内縁関係でも財産分与はもらえますか?」
内縁とは、夫婦としての実態はあるものの、
籍を入れていない男女の関係のことをいいます。
内縁には2種類あり、1つは「重婚的内縁」です。
これは片方、または双方に法律上の配偶者がいるのに
別の人と夫婦同然に生活している場合です。
もう1つは、独身同士で入籍はしていないけれど、
周りが夫婦と認識するような関係です。
しかし、ほんの数ヶ月の同居では内縁関係とは認められるのは難しく、
この場合、数年は夫婦関係の維持が必要になります。
後者の場合、一方の浮気などが原因で別れるときは、
婚姻している夫婦同様、慰謝料や財産分与の請求ができます。
また、男性が死亡した場合には、遺族年金や年金分割も可能になります。
ややこしいのは、重婚的内縁の場合です。
内縁関係では、相続権だけは認められていないので、
いくら本妻よりも長い間、生活をともにしていたとしても
法律上、離婚していなければ、相続権は妻にありますので
内縁の妻には1円の相続権もないのです。
たとえ、遺言書に「内縁の妻に財産を譲る」と記載されていたとしても、
法律上、最低限の妻と子供の取り分を渡さなくてはいけません。
「あと10年ほどで夫が定年になり、数千万円の退職金が支給されます。
離婚を考えていますが今すぐ離婚すると退職金は財産分与の対象にならないのでしょうか?」
普通は退職金も当然、財産分与の対象になるのですが、
この場合、退職まであと10年あるというところが問題です。
現代社会では会社が倒産したり、リストラされるということは
珍しいことではありません。
退職金が支払われるには、会社が存続し、そこに所属していることが
必須条件となりますので、10年先に必ず退職金が支払われるという
確信がもてないのが現状なのです。
ですから、将来、受け取れるかわからない退職金を
財産分与の対象にすることは難しいということです。
ただし、退職金が必ず支払われるという確実な見込みがある場合は別です。
たとえば、夫が公務員、大手の銀行員、一部上場の優良企業の社員だという場合、
退職までの期間が短い場合などです。
また、退職金が財産分与となった場合、現段階で退職した場合の金額を算出し、
その半額を受け取る方法と、将来満額でもらえる金額から中間利息を引いて、
同居の年数に応じて算出する方法があります。
しかし、これらは高額になりますので、一括で支払ってもらえることはほとんどなく、
退職金を受け取ったら支払うようにという判決が下りることが多いようです。
本当に払ってもらえるのか心配な場合は分割払いで離婚後すぐから
支払ってもらう方法もありますので、専門家により相談してみましょう。
「離婚を考えていますが、先日、5年間介護してきた夫の父親が他界し、
夫が遺産を相続しました。この遺産は離婚の際、財産分与されるのでしょうか。」
結論から言いますと、残念ながらこれは財産分与には含まれません。
なぜなら、財産分与の対象になるのは、結婚後に夫婦が協力して
作ってきた財産だからです。
ですから、夫が父親から受け継いだ財産は夫の財産となるので
財産分与されないのが現状です。
しかし、妻が夫の収入をやりくりして自分の名義で貯金をしていた場合、
それは共有財産であり、財産分与の対象になるのです。
あくまでも夫婦が一緒に作った財産が対象ですから、仕方がないですね。
ただし、場合によっては妻が夫の相続財産の分与を認められることもあります。
たとえば、膨大な土地を相続したのに夫が相続税や固定資産税などを払わず、
妻がそれらの税金を払い続けていた場合、妻が財産の維持に貢献したとされ、
相続財産も分与の対象と認められます。
また、介護と相続の問題は全く別なので、いくら献身的に介護してきたとしても
妻には相続する権利はありません。
しかし、介護を妻に押し付けて、妻の大変さを顧みることなく、
介護に全く協力しなかったことが原因で妻がストレスを抱え込み、
離婚に至った場合には慰謝料の請求が可能です。
妻としては何ともやりきれないのが現状ですね。
財産分与対象となる財産がなかったり、あっても極端に少ないという場合、
例外的に検討されるのが「扶養的財産分与」です。
つまり、離婚後の自立した生活に大きな不安がある配偶者への
分与ということになります。
自分の収入だけで生活できるようになるまでにかかる年数や
その間に必要と思われる生活費を離婚前の生活水準を参考に
算出されます。
たとえば、サラリーマンの夫と専業主婦など、どちらか一方の収入によって
生活していた夫婦の場合などがその代表的な例となります。
また、経済的自立のほかに高齢であることや病気、
子どもの監護のためという理由も認められています。
子どもの監護は、離婚後、子どもを引き取ることで経済的負担が増え、
経済的自立が困難になる場合があるからです。
病気の中でも精神的疾患の場合には、その配偶者が亡くなるまでという
かなり長い期間に及ぶ支払いが命じられることもあります。
ただし、扶養的財産分与の場合、その配偶者が持つ財産が
対象となりますので、いくら義務があっても資産がないというときは、
認められないこともあるのです。
やはり難しい所もあるんで、弁護士等専門家に確認するのが良いでしょう。
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